Mon, 6 January 2014
中学3年生の7月、もうすぐやってくる夏休みに向けて浮かれながら海の予定を立てているとき、
担任の先生に呼び出されて「このままだと、付属の高校に行けない候補の下から3番目に入っているよ」と告げられた。
驚く間もなく、私は15歳の青春サマー直前に、落ちこぼれ友達と夏期集中補講のため
マクドナルドと学校を行き来することになった。科目は、最も成績の悪かった古典だった。
だけど危機感は全くなく、なんだかそれすらも楽しくて、セーラーの夏服はお気に入りだったし、
皆で「だるいよね」なんて言いながらとりあえずぐーたら過ごす夏も悪くないなと思っていた。
補講組で「そもそも付属の高校に行く必要もなくない?」なんて話がちらほら出てきた頃、
私は彼らを真っ先に裏切ることになった。
みるみるうちに古典にハマり、8月のお盆前には「前世は紫式部だったと思う」と言い残し、
私はさっさと補講を卒業したのだ。
きっかけは、先生が例えで出した百人一首だった。
ただ暗号のように覚えるだけだと思っていた古典を、それこそ現代の紫式部のような先生が
あまりにも生々しくリアルに教えてくれたのだった。(花村先生ほんとにありがとうございます)
当時思春期真っ只中だった15歳の私は、いつも誰かに恋をしていて、今日の朝の挨拶はなんて声をかけようか、
メールの絵文字を何にしたらさりげなく伝えられるのか(ペンギンかな、ネコかな、ハートは直接的すぎるかな…とか)、
とにかく色んなことにドキドキしていて、女友達とそんな話をしながらきゃっきゃするのが何よりも楽しかった。
それを、まさか千年以上前の人たちも同じようにしているなんて…!
突然英語が話せる日が来た時のような驚きだった。(来たことないけど)
「そうか、昔の人も同じように恋をして、その気持ちを伝える術として歌を詠み、時に傷つき、
時に溢れんばかりの幸せを歌にしているのか…」と思うと楽しくて楽しくて…
口語訳を自分なりにしてみたりして、酔いしれて涙を流してみたり…なんとも風流な勉強スタイルを確立させた。
そしてついに新学期最初のテストで、私は古典において学年1、2位の順位を争うという快進撃を見せ、
なんとそのノリで生徒会にまで入ってしまったのだ。
スカートの長さも突然長くなり、眉毛は太めになり、突然変わった私は先生や親を驚かせた。
その後付属の高校を無事卒業し、大学で経済学部に入ってからも、なぜか私は「源氏物語ゼミ」に入り、
平安時代の女性の経済学についてレポートを書いたりしていた。
それはともかく、私が十代の頃から日本の四季や地域ならではのものに興味をもち、いちいち感動して、それを深く知りたいと思えるようになったのは、古典の楽しさを教えてくれたこの夏があったからだと思う。
そして先日、古典の中でよく出てきて「いつか訪れたい…」と思っていた場所の一つへ行くことができた。
(って言っても行く気になったら翌週行けて、しかも大阪から1時間もかからず到着したんだけど)
それが「吉野の里」だった。
百人一首にも「朝ぼらけ 有明の月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪」という歌がある。
きっと空気がキリッと冷たい冬の朝に、とっても気持ちのいい瞬間に詠んだんだろうな…と
朝の光の加減や、鳥の声まで想像していた気がする。
もう一つ、こちらは百人一首ではないけれど、義経の愛人として有名な静御前の詠んだ歌で
「吉野山 峰の白雪ふみわけて 入りにし人の跡ぞ恋しき」という歌。
命を狙われた源義経が追っ手が来るまでの数日間、愛する静御前と2人で過ごした最後の場所こそがその吉野山で、
彼女を守るべく義経は静御前を京都へ帰し、雪の中、1人山の峰へと消えていったんだそう。
結局静御前も捕えられ鎌倉へ送られたのだけど…、そこで彼女が悲しみに暮れつつも、
吉野での楽しき日々と、最後に義経と一緒に行けなかった後悔を思いつつ舞いながら
詠んだのがこの歌だった。と…
なんていう悲恋の歌…。
まぁ、吉野がキーワードとして登場する古い歌は他にも沢山あって、
だけどそのどれもで、とても温かい心の故郷として登場していて、一度ゆっくり訪れてみたいな…と
思っていた場所だった。
前置きが非常に長くなりましたが…(もはや起承転結終了くらいの)
そんな吉野。吉野町。やっぱりとても素敵なところでした。
今回は一つのプロジェクトへ向けて1泊2日で、吉野を詰め込んで体験させていただきました。
待ち合わせは大和上市という、映画に出てくるような渋い駅。
なんと、最近賑わっている大阪の阿部野から近鉄特急に乗り、
たったの1時間でここまで直通で来れるのです。
美しい桜や、ヒノキと杉がブランドとしても有名な吉野。
そんな「木」の最初から最後までの過程を見学させてもらいました。
材木工場で皮をむき柱にする様子、加工して木工用品にする様子、割り箸になる様子…
まさかこんなことまで!というこだわりを、誰にもわかられなかったとしても徹底的に手抜きしないのが、
日本の職人さんの美しさなんだと改めて感じました。
木工職人さんの背中…木屑がついた背中がこんなにも大きく見えたことはありません(´・_・`)
中川政七商店さんの商品などを創ってらっしゃる有名な職人さんです。
(置いてあった柿の皮をご自分で創られた木のナイフでリンゴのように丸ごと剥いて、
そのままカットすることなく丸かじりしてました。わ、わいるどすぎる。)
宿泊は歌藤さんという旅館に。
道を挟んだところにある離れで、吉野の景色を見ながら朝ごはんをいただくのが風情ありました。
そして冬の朝の空気がシャキっと気持ちいい時間に、修験道の総本山でもある金峯山寺蔵王堂へ。
4m近くある蔵王権現さまがいらっしゃるお堂の中で、
まさかのマンツーマンでお説教とホラ貝の音を聴かせていただき、心鎮まるひととき…。
太く大きな68本もの柱の種類は杉、檜、松、欅、つつじ、梨、など様々だそうで、
その自然剥き出しな感じも、存在感も何もかもがもはや森のようで、吸い込まれるような場所でした。
そして吉野といえば吉野葛。芋のでんぷんを混ぜていない100%の葛は今や珍しく貴重で、
その純粋なとろみこそが、吉野本葛。お干菓子作りの体験までさせていただきました。
(革ジャンのジップが壊れ、一生脱げない人になったのでお菓子作り中も着用していますが悪しからず)
お茶屋さんが立ち並ぶ山道はそこら中に魅力的な甘味が…
美吉野醸造さんでは100年ものの吉野杉の木桶でつくった日本酒「百年杉」を…
ヴィンテージのある日本酒なんて素敵すぎる!
私は2011年ものが1番好きでした。
(こんなに若い杜氏さん。一度東京に出られてお家を継ぐために戻ってこられたとか…。)
1泊2日でしたが、ずいぶん長いことここに暮らしていたような…
なんだか懐かしい気持ちになりました。やっぱり地方には知っておきたい日本の心がありますね。
吉野の里、吉野町のみなさん、ありがとうございました!
そんな吉野をきっかけに、今年からは日本のあちこちを回ることにします。
そして、昔富山県の宮本みそ店さんと出会ってピンクの甘酒をプロデュースさせてもらったたように、
多くの日本の宝をライフスタイルへと提案し、商品だけでなく幅広い切り口で展開していきたいと思っています。
このプロジェクトについては1月2月中にまた正式にご報告させていただきますが…
ひとまず、吉野での感動を新年最初のイベントにのせて…ワークショップを企画します!
WORKSHOP@CHEER’S
NEXTWEEKEND×CHEER’S ” GREENWEEKEND
私が毎月NEXT WEEKENDチームで企画しているGreen Weekendと、
阪急うめだ本店内にあるカフェCHEER’Sでの人気ワークショップとのコラボレーションです。
今回は、吉野の杉やヒノキをつかって、カッティングボードを創ります。
ある程度成形してあるものをご用意しますが、それを自分のものに皆でカスタマイズしながら仕上げていきます。
どんなに美味しいものを食べていても、やっぱりストーリーのある物がひとつあると
突然愛しさが増すから不思議。
元からカッティングボード愛好家の私でしたが、今年神戸の自宅付近で素敵な木工職人の親方に出会いました。
そこで沢山自分の作品を創らせてもらったことがきっかけで、
その木が屋久島で育った杉だということや、桃の木は少し香りが甘いことや、
80年もののヤマモミジは木目に貫禄があることなんかを知るうちに、
もっともっと丁寧に食事の時間を過ごせるようになったのです。
物と情報が溢れる今の時代…
ストーリーを知っているものをしっかり身の回りにおいておきたい、心からそう思いました。
ちなみにこちら、私のリスペクトする神戸の親方。
(親方すみません…子機のようなガラケーを持っている親方に、
ブログっていうのはメールに毛が生えたようなもんですなんて雑な説明しましたが、
こんなにドアップ写真使わせてもらいました)
私が初めて創った作品たち。
何もしなくても過ぎて行く毎日の時間を、ちょっとでも自分らしくしていくために、
まずは小さなことから…!
ということで、ストーリーあるカッティングボードを是非!みなさんにも持ち帰ってもらいたい。
CHEER’Sの美味しいビュッフェと共に一緒に楽しい週末を過ごしましょう。
参加応募はこちらから
午前と午後があるのでお間違えのないようになさってくださいね!
一緒に練り上げてくれているCHEER’Sスタッフ中村葵ちゃんのブログはこちら。
可愛いカフェの中で、吉野のストーリーをどう伝えられるかな♫
今からワクワクしています。ご参加される皆さん、お会いできるのを楽しみにしています^^
さっ、ながーいブログでしたが、皆さん今日から仕事始めですね。
素敵な一年のスタートになりますように!!
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有料サロン「ちゅうもえの楽屋にいらっしゃい♫」
Facebookを使って、秘密のグループを運営しています。
現在日本最大のサロンとなるこちらの場所には、同じようなアンテナを持つ人が沢山♫
ブログに書けないあんなことやこんなことなど、裏話も更新中。
本日から10日までは無料お試し期間開催中です♫。
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村上萌さん
初めてコメントしますが、いつもブログ楽しみにしています(*^^*)
自分はいま医大の6年で、あと国試まで一ヶ月です。
この一年間、医療系大学流の就活で一般企業のような大変さは微塵もないけど、それなりに色々な各地の病院で実習しに行ったり、合間に勉強したり、卒業試験に追われたり…なんだか大学の付属病院と違う病院と自分の住む環境の違いに戸惑ったりして、残り一年きってる学生生活を楽しみなかったりしてました。
そんな時に、自分の同級生と、病院で知り合った先生でありご主人のお友達だった方達がfbでいいね!をしていた綺麗な花嫁さんの写真を見つけました。
自分が森村の時に憧れていた萌先輩でした!
さっそくブログ見つけて愛読ブログリストに追加させていただきました*
こんなにキラキラとお仕事をされている。
こんな風に毎日をカスタマイズして、楽しめてる。
自分が探し迷っていた答えのような、そんな発想でした。
森村時代に、勉強があるからとか予備校があるからとかで色々犠牲にしちゃったなぁとか初等部の時のつながりも大切にできなかった事とかを悔やんだり、もっとセーラー服を楽しめばよかったなとか、それこそ理系だからと言わず花村ご夫妻の古典や現代文を勉強すればよかったな…なんて、6年経って振り返って気付けば後悔ややり残した未練が高校生活で大きかったけど、
萌先輩のお話や考え方を聞いていて、今の自分にあの時間は必要だったし、いつかまたみんなに会えた時、今こんな仕事してるよ!って笑顔で言えるよう、今を楽しんで、頑張ろう、と思いました。
萌先輩とは、実は初等部の一年生の時遠足のペアでした!笑
あの頃から、笑顔が可愛くて、可愛い持ち物を持っていて、優しくて…憧れの人でした!
可愛い時計それていたのに部品がなくなっちゃった時の萌先輩の事、高校の時の萌先輩のエピソードとかを読んでふと思い出し、懐かしくなりました(*^^*)笑
先輩のように発想や価値観、物の捉え方•見方を相手の方にプロデュースできるお仕事、とってもかっこいいと思います!
自分はプロデュースできるものの形態は違いますが、これからの命、お人によっては残された命を。その方お一人お一人にとって必要となる最善の医療をプロデュースできるような医師になりたいと思います。
今日のブログを読んで、あの時医者になりたい…というより、まずは医学部行きたくて頑張ってた夏休みのこと思い出し、国試一ヶ月というこのタイミングて、初心に戻って勉強頑張ろうってパワーと元気、やる気(大事!)頂きました!
ありがとうございます(*^^*)!
萌先輩に憧れる後輩として、ライフプロデューサー村上萌さんのファンとして、これからも応援しています(*^^*)!
綺麗な文章やお写真、これからも楽しみです*
自分もカスタマイズして毎日を大切に過ごして、頑張ります(*^^*)
長文失礼しました!
おやすみなさい*